分譲賃貸とは?一般的な賃貸物件との違いとメリットを解説

分譲賃貸とは?一般的な賃貸物件との違いとメリットを解説

マンションの賃貸物件を探していると、分譲賃貸と呼ばれる物件を目にすることがあります。
分譲賃貸は、一般的な賃貸物件と比較してオーナーや設備のグレードなどに違いがあり、メリット・デメリットをあわせて検討することが大切です。
そこで今回は、分譲賃貸とはなにか、一般的な賃貸物件との違いとメリット・デメリットを解説します。

分譲賃貸とは?一般的な賃貸物件との違い

分譲賃貸とは?一般的な賃貸物件との違い

分譲賃貸の基本情報として、「分譲賃貸の概要」「分譲賃貸として貸し出される理由」「分譲賃貸の見つけ方」に分けて解説します。

分譲賃貸の概要

分譲賃貸とは、本来分譲マンションとして購入された1戸ごとの物件が、賃貸に出されることを指します。
賃貸物件では、マンションやアパートを1棟、同じオーナーもしくは不動産会社が管理しているのが一般的です。
一方で、分譲賃貸では、1戸ごとにオーナーが異なる特徴があります。
もともと、オーナーのマイホームとして購入していた物件を貸しに出しているケースが多く、比較的グレードが高い物件が多い点も特徴です。

分譲賃貸として貸し出される理由

マイホーム用に購入したマンションを分譲賃貸として貸しに出すのには、さまざまな理由があります。
たとえば、オーナーが転勤などで住めなくなった一時的な期間に限り、貸し出しているケースがあります。
長期間人が住んでいないと部屋は劣化しやすいため、家賃収入を得ながら、修繕費の積み立てや住宅ローンの返済に充てる考え方です。
分譲マンションとして売りに出したものの、買い手がつかなかったケースもあります。
その場合、売れなかった部屋だけが、分譲賃貸として貸し出されることになります。
初めから、投資家向けに建てられている分譲マンションがあるのも、分譲賃貸が存在する理由です。
分譲賃貸を前提にしたマンションの場合は、一般的な分譲マンションよりも、建物や設備のグレードを低くしている可能性があります。

分譲賃貸の見つけ方

分譲賃貸は、一般的な賃貸物件と比較して、全体の物件数が少ないです。
そのため、分譲賃貸を探す場合は、ある程度時間の余裕を持って探す必要があります。
賃貸情報サイトから探す場合は、詳細検索で「分譲タイプ」を絞ると見つけやすくなります。
サイト内で分譲賃貸の特集が組まれることもあるため、見逃さずにチェックしましょう。
分譲賃貸は、オーナーの都合により一時的に貸し出しているケースもあるため、契約期間の制限について確認しておくことも大切です。

分譲賃貸のメリット

分譲賃貸のメリット

ここでは、分譲賃貸のメリットについて「設備のグレードが高い」「防犯性に優れている」「防音性や耐震性が優れている」「住人のマナーが良い」に分けて解説します。

設備のグレードが高い

一般的な賃貸物件では、他者に貸し出して利益を得ることを前提に作られているため、設備の価格を抑えているケースがよく見られます。
一方、マイホーム用として建てられた分譲賃貸では、住む人の快適性が優先されています。
分譲賃貸には、以下の設備が標準装備されているところが多い点がメリットです。

●追い焚き機能
●床暖房
●食器洗浄機
●ディスポーザー
●宅配ロッカー


設備のグレードに加え、マンションの建物の構造自体もしっかりとした作りの物件が多いのが、分譲賃貸の特徴です。

防犯性に優れている

分譲賃貸のマンションでは、セキュリティ関連の以下の設備を備えており、防犯性に優れている物件が多い点がメリットです。

●オートロック
●防犯カメラ
●ディンプルキー
●ダブルロック
●合わせガラス


物件によっては、エレベーターの利用にも鍵が必要だったり、24時間警備員が常駐していたりするところもあります。

防音性や耐震性が優れている

分譲賃貸マンションでは、構造がしっかりしているため、防音性に優れているケースが多いです。
天井や床に隙間を作る二重床や二重天井の構造により、上下に生活音が響きにくくしているところもあります。
自分が出す日常の生活音によって、騒音トラブルが起こることを防げます。
また、上下階からの音が少なく、室内で静かに過ごせる点もメリットです。
さらに、分譲マンションは長期的に住むことを前提としているため、耐震性を高めている物件が多いです。
一般的な賃貸物件のマンションも基本的な耐震性はクリアしていますが、分譲賃貸ではさらに特別な建築法を採用している場合があります。

住人のマナーが良い

分譲マンションは、一生住むマイホームとして購入する方が多いため、賃貸物件の住人よりもマナーが良い傾向があります。
マンション全体を自分の家としてとらえ、良い外観を保とうと意識的に行動する方が多いでしょう。
住人同士も長年ともに暮らす隣人になるため、マナーを守り、良い関係を保とうとする意識がはたらきます。
一般的な賃貸物件より、住人同士のトラブルが起こりにくい点も、分譲賃貸の特徴です。
穏やかに暮らしやすい環境があり、子育て世代の方にも適しているといえます。

分譲賃貸のデメリット

分譲賃貸のデメリット

ここでは、分譲賃貸のデメリットを「家賃が高い」「定期借家の場合がある」「オーナーとマンションの二重規約になる」「トラブル対処が遅れる場合がある」に分けて解説します。

家賃が高い

分譲賃貸は、一般的な賃貸物件に比べて建物や設備のグレードが高いため、家賃が高い傾向がある点はデメリットです。
また、オーナーは家賃収入を住宅ローン返済に充てているケースが多く、住宅ローンの額を基準に家賃設定をしている場合があります。
オーナー自身が高めに設定しているわけではなく、返済に必要な額のため、値引き交渉は難しい場合が多いです。

定期借家の場合がある

定期借家とは、契約期間に制限があり、期間満了後は更新ができない契約形態を指します。
一般的な賃貸物件では、自由に更新ができる普通借家契約を結ぶケースが多いです。
普通借家契約では、特別な事由がない限り、貸主は更新を拒めません。
一方で、分譲賃貸では、オーナーが転勤から帰ってくるなどの事情にあわせて退去する必要があり、長期で住みたい方にとってはデメリットとなります。

オーナーとマンションの二重規約になる

マンションに住む場合、マンション全体の管理規約に従う必要があります。
分譲賃貸では、それにオーナーとの契約による規約も加わるため、二重規約の状態になる点はデメリットです。
それぞれの規約の間に矛盾が生じると、不便が生じるケースがあるでしょう。
たとえば、マンションの規約ではペット可なのに対し、オーナーはペット不可にしている場合があります。
この場合、マンション内のほかの住人はペットを飼っているのに、自分の家だけ飼えない状況が生じます。

トラブル対処が遅れる場合がある

分譲賃貸として物件を貸し出すのは個人オーナーが多く、賃貸物件の対応に慣れていない可能性がある点もデメリットです。
一般的な賃貸物件では、設備の故障が生じた場合に依頼する業者があらかじめ決まっており、対処が迅速であるケースが多いです。
一方で、分譲賃貸では、1戸ごとに異なるオーナーが対応します。
故障が生じたのが室内なのか、共有部なのかによっても権利関係が変わるため、トラブル解決が複雑になる可能性も考えられます。
契約時には、トラブル発生時の対応について、あらかじめ質問しておくことがおすすめです。

まとめ

分譲賃貸とは、本来分譲マンションとして購入された1戸ごとの物件が、賃貸に出されることを指します。
分譲賃貸のメリットには、設備のグレードが高い点や住人のマナーが良い点などが挙げられます。
一方で、家賃が高い点やマンションとオーナーの二重規約になる点などは、デメリットです。